書き散らした小説置き場。剣と魔法のファンタジー他いろいろ。
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駆ける。
今はまだどこにもない場所を。
けれど確かに、己の裡に広がる風景を。
まだ誰も見たことのない物語の結末へと、
心の翼は軽く、軽く。
描ける。
今はまだ誰も出会ったことのない人々を。
英雄の活躍を、少年が踏み出す一歩を、
老人の生涯を、乙女が流す清き涙を。
彼らの世界を生きる人々の姿を、
心の瞳はじっと、じっと。
欠ける。
足りないのは己の技倆か、
それとも裡なる世界を描くにはあまりにも頼りない語彙か。
長く深く旅するほどに、
力量の及ばぬ領域を思い知り。
それでも、心が導く。
己にしか書けない何かをひたすらに求め、求め。
賭ける。
最初の一行が最も難しい。
裡なる世界と、未熟に過ぎる才と、突き動かされる衝動と。
苦しくて、苦しくて。
それでもペンを持つことを諦めたくない。
何度も描いた情景に、描きたかった一幕に思いを馳せる。
天啓のように閃いた一文に、託して。
架ける。
裡なる世界を己の外へ。
この身は架け橋となり、新しい世界を生み出していく。
素晴らしいものばかりではない。
時には醜いものをもペン先は紡ぎ出す。
けれどもそれこそが、己が見ていた景色。
描きたいと願った場面。
己が生きているこの場所と何ら変わらぬ、
ひとが生きる、ある世界の物語。
懸ける。
そこに生きる人々の心を。
そこに居る人々の願いを。
彼らの願いは己の心の映し鏡。
綺麗なものも残酷なものも、凡ては己の裡にある。
だから。だから。
——書ける。
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