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書き散らした小説置き場。剣と魔法のファンタジー他いろいろ。
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 クリスマスの朝、最初の光が天文台に射しました。

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それを受けてきらきらと輝くのは倖せの粒子。地上から私たちの橇まで、流れに逆らう流星雨のように次々と舞い上がってきます。
「いやあ、きれいだねえ」
 主人が後ろで手を叩きました。橇から身を乗り出して銀色の光の粒をのぞきこみ、満足げに頷いています。
「こうしていると、まるで星の海に浮かんでいるみたいだ」
「ええ、そうですね」
下からは倖せが、上にはまだ夜の残る本物の星空が。銀色に包まれた橇は、確かに星の中に浮かんだ船のようにも見えます。宇宙に橇を引いていったら、こんな景色になるのかもしれません。
「今年のお客さんも無事に倖せを見つけられたようで良かったよ。途中のトーンの説得が効いたのかな?」
「私は大したことは言ってませんよ。見失っていたものを見つけられたのなら、それはもともと彼女が大事に持っていたものだからでしょう。私の言葉はきっかけになっただけです」
 そういえばさっきは少々熱っぽく語ってしまったのでした。照れ隠しに私はそっぽを向きます。後ろで主人がやわらかく微笑む気配がしました。
「そう? でも、僕の仕事がやりやすくなったのは本当だから。ありがとう。そして今年もお疲れ様」
「……ニコルこそ、お疲れ様でした」
 東の空がだいぶ白んできました。かすんできた星明かりの中、主人が不器用な手つきで光の粒子を吸い込んでいた袋の口を閉じます。橇がわずかに揺れて、取り付けてあるベルが澄んだ響きを立てました。
「じゃあ、帰ろうか。僕らの家へ」
「そうですね」
 まっすぐに北を目指して、私はゆっくりと走り始めました。目指す方向にはまだ朝が来ていません。夜を追いかけるように少しずつスピードを上げて、ぐんぐんと橇を引いていきます。
「それにしても、目指すものがあるってことは倖せなことだよね。それに向かってがんばっているうちに、いつの間にか自分も誰かを導くしるべになっているのかも」
「ええ」
 走っているために私の答えは短くなります。でも心の中では続きを考えていました。
 ひょっとすると、目指すものに追いつくために日々を駆け抜けることそのものが光になるのかもしれないと。今、私の走った後に光の軌跡が描かれているように。
 私のしるべを示す人は、橇の後ろで空を仰いでいます。
「ああ、僕も宇宙に行ってみたいな。きっとすごくきれいなんだろうねえ」
「ええ、きっと」
「もし行くことになった時はトーンも一緒に行こうね。僕一人じゃ寂しいし」
「そうですね。ぜひ」
 行く手に輝くのは北極星。その明るい光に向けて私はさらに速度を速めました。まるで倖せと願いを載せて流れる星のように。My Dear Santaを飾る言葉も、たまにはロマンチックに決めてみるのも悪くないかもしれません。


——Thanks for your reading.
I hope you catch a lucky star, and have a nice new year !


<2006年12月24日>



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