書き散らした小説置き場。剣と魔法のファンタジー他いろいろ。
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煌く星々に焦がれて、幾度手を伸ばしたことだろう。
宇宙へ——
そして掲げ続けた腕を、幾度失望と共に下ろしたことだろう。
それは追い続けても手に触れることのできない、憧憬によく似ていた。
ビアンカは降るような星空を見上げ、ため息をついた。遠くから賑やかなパーティーの喧騒が聞こえてくる。白い息を吐いて、ビアンカは街灯の明かりから外れた丘へと向かって歩き始めた。今は、独りになりたかった。
ここは国立の宇宙飛行士訓練校だ。天文台も併設されているせいで周りには何もなく、丘ばかりが連なっている。漆黒の闇が描くのは丘の稜線。その影を、星々をちりばめた薄闇の空が浮かび上がらせている。明るいのは、丘の一つのふもとにある学校だけ。今夜が特に賑やかなのは、クリスマスイブのパーティーだけが原因ではない。
今日、12月24日は訓練生が待ち焦がれた選抜試験の結果発表日だった。10人の生徒の中で、選ばれるのはたった1人。訓練生ならば誰もが夢見る、宇宙への切符。不安とそれ以上の期待を胸にこの日を迎えたビアンカだったが、結果は——
「キャプテン・ポーラスタ……」
白いため息混じりに、その名をつぶやく。同時にこらえようのない悔しさと悲しみが襲ってきて、ビアンカは思わず足を止めそうになった。それを無理矢理励まして、がむしゃらに丘を登っていく。
見た目よりもかなりきつい斜面を登るのに疲れて、ビアンカはその場に座り込んだ。訓練生にとっては宵の口でも、一般の人にとっては既に夜更けといっても良い時間帯だ。降りた霜の寒気がじんわりと伝わってくる。
毛糸の帽子を深くかぶって、ビアンカは思い切って寝転がってみた。寒かったが、丘のてっぺんに隠れてパーティーの物音は聞こえなくなった。目を閉じて、腕を空へと掲げてみる。頭の中で星座をイメージして、指を指していく。
「北の空には北極星。北斗七星に、オリオン座。おおいぬ座のシリウス、ベテルギウスにプロキオン……」
「へえ、すごいなあ、全部当たってるよ。目で見なくてもわかるものなんだねぇ」
突然横から掛けられた声に、ビアンカは跳ね起きた。
「誰だっ!?」
一瞬訓練生の同期かとも思ったが、違うようだ。いつの間に姿を現したのか、ビアンカのすぐ横に一人の青年が立っていた。見たことのない顔だ。ご丁寧に赤いサンタの衣装をまとって、緊張感のかけらもない笑みを浮かべている。
「僕? 僕はサンタのニコルっていうんだ。君は?」
「さ、サンタだって?」
最初の驚きが通り過ぎると、後に残ったのは目の前の自称サンタに対する警戒心だけだった。ビアンカはニコルと名乗った青年から身を引いて距離を取った。少しは冷静になった頭で考えて、納得のいく答えを探し出す。
「そうか、パーティーの余興で呼ばれたサンタだな。道にでも迷ったのか?学校ならあっちの丘の向こうにあるぞ」
そっけないビアンカの答えに、しかしニコルは首を振った。
「パーティーに呼ばれた? ううん違うよ、僕は君に会うために来たんだ」
「あたしに会うため?」
ニコルはうなずいた。
「君は僕の今年のお客さんだから。君の願いを叶えるため、僕たちは来たんだよ」
「……僕たち?」
ビアンカの言葉に合わせるように、ニコルの後ろから1頭のトナカイが進み出た。首に下げたベルから澄んだ音を響かせながら、トナカイはビアンカの目を覗き込む。
「驚かせてしまってすみません。私はトーン。ニコルのパートナーです」
その口から発せられた言葉に、ビアンカは目を見開いた。
「トナカイがしゃべってる……? そんな、非科学的な」
「うん。僕らは本物のサンタとトナカイだからね」
ビアンカはめまいを感じた。仮にも自分は宇宙飛行士の卵、科学者の端くれだ。なのに目の前のこの非現実的な事態は一体何なんだ。試験に落ちたショックでどうにかなってしまったのだろうか。
「ねえお姉さん、僕らは君の強い願いに引き寄せられてここに来たんだ。何か強く願っていることはない?」
頭を抱えているビアンカのことはまったく気にする様子もなく、ニコルは笑顔で問いかけた。
「ね……願い?」
「そう。僕は物では満たされない人の願いを叶えるサンタだから。プレゼントをあげることはできないけれど、別の形で君の倖せを作る手助けは出来るかもしれない。君が持っている強い願い、僕らの仕事はそれを叶えることなんだ」
「あなたの心からは強い願いの光が見えました。何か、強く望んでいることがあるのでしょう。私たちにその願いを教えていただけませんか」
強く願っていたこと。それを思い出した時、ビアンカはすっと心が冷えていくのを感じた。
そう、たった一つだけ、ビアンカが望み続けたことがあった。
——宇宙へ。
これがただの飛行なら、たとえ試験に落ちても次のチャンスに向けてまた勉強しなおすだけの話だ。しかしビアンカには、どうしても今回の飛行に受からなければならない理由があった。
——あの人と一緒に、宇宙へ。
ビアンカはぎり、と奥歯を噛み締めてニコルから目を逸らした。握り締めた指先が震えているのは、寒さのせいだけではない。
「願いを叶えるサンタなんて、そんなのいるわけないだろうが。仮にそれが本当だとしても、あたしの願いは人に叶えてもらうようなものじゃない。自分で努力して手に入れるべきものだ。それに——」
試験の結果はもう決定してしまったのだ。今更覆るはずもない。
「もう遅いんだよ。あたしがこれまでやってきたことは、すべて無駄になってしまったんだから」
ビアンカのすべてを拒絶するような態度にニコルとトーンが顔を見合わせる。深深と冷える夜更けの丘の上に、気まずい沈黙が流れた。
「確かに、願いっていうのは本当なら自分で叶えなきゃならないものだよね」
口を開いたのはニコルだった。頭に載せたサンタの赤帽子の先っぽを指先でくるくる回しながらビアンカの顔を覗き込む。
「それを分かっているだけでも君は十分えらいと思うよ。でも、時々はがんばってもどうしようもないこともある。年に一度、クリスマスにくらいは僕らががんばっている人たちを助けてもいいんじゃないかな」
「そうですよ。無駄かどうかは私たちにあなたの願いを話してみてから決めてもいいのではないですか?」
ニコルとトーンの視線の先、ビアンカはそっぽを向いたまま答えない。辛抱強く、二人は待つ。
「……星を、追いかけるようなものなんだ」
ぽつり、とビアンカが言う。
「あたしは、あたしに夢をくれた人を追いかけてここまで来た。宇宙飛行士の訓練校に入って、訓練を積んで……すべてはあの人、キャプテン・ポーラスタに認めてもらいたいからだった」
ゆっくりとビアンカの目線が上がる。夜空を映した瞳の先、そこには淡く輝く北極星があった。
「ようビアンカ。試験勉強は順調か?」
親しげにかけられた声に、ビアンカは振り返った。今日の訓練を終えたばかりの同期生の向こうで、頭ひとつ背の高い三十男が手を上げている。
「キャプテン・ポーラスタ。珍しいですね、訓練室に顔を出すなんて」
ビアンカは男に小走りで近づいた。見上げた男は無精ひげの生えたあごをさすりながら、にやりと笑って見せる。
「なぁに、ひよっ子どもががんばってる姿を一目見ておこうと思ってな。部下の仕上がりを確認するのも、責任者の大事な仕事だし」
男の手がぽん、とビアンカの頭に置かれる。
「訓練の様子を見せてもらったが、お前はなかなか筋がいい。お前になら安心してサポートを任せられそうだ」
「はっ、はい、ありがとうございます!」
「試験は来週だったな。ま、がんばって乗組員になってくれや。期待してるぜ」
褒められた嬉しさと興奮で頬を染めているビアンカの後ろで、今になって男に気づいたらしい同期たちの声が上がった。
「あ、キャプテン・ポーラスタだ」
「本当だ。キャプテン、今日は何の用ですか?」
「用がなきゃ来ちゃいけないのか、俺は。見学だよ、見学」
男はビアンカの横をすり抜けて、同期たちの方へ行ってしまった。その大きな背中を見るともなしに追いかけて、ビアンカは小さくため息をついた。
同期たちは皆若い。一人だけ年代が違うこともあって、男の姿はとても目立った。いや、目立っているのは年齢のせいだけではない。軽口を叩きながら同期たちとじゃれている男は、他の誰より圧倒的な存在感があった。決して人を威圧するようなものではないが、ただそこにいるだけで大きな安心感を与えてくれる不思議な力。事実、試験を控えてぴりぴりしていた同期たちの表情に久しぶりに笑顔が戻っている。
一週間後の試験に通れば乗ることになる宇宙船の船長、キャプテン・ポーラスタ。ビアンカが誰よりも憧れ、尊敬している宇宙飛行士。それが目の前の男だった。
別に本名があるにもかかわらず、誰からも二つ名である”キャプテン・ポーラスタ”と呼ばれるほどに、彼はこれまでに大きな業績を挙げてきた。北極星とは決して狂わない指針のこと。十代で初めて宇宙への切符を手にして以来、彼が確立した技術や発見した新事実は数え切れない。彼は文字通りこの世界で生きる者にとっての巨星であり続けた。
しかし彼はこの次の飛行を最後に現役を引退する。今回初めて選抜試験に臨むビアンカにとって、彼と一緒に宇宙を飛ぶチャンスはこの一度きりしかない。
きっと、この試験に受かってみせる。そして彼と一緒に宇宙から地球を見るのだ。
その夢のためにビアンカは宇宙飛行士を目指し、ここまで来たのだから。
宇宙へ——
そして掲げ続けた腕を、幾度失望と共に下ろしたことだろう。
それは追い続けても手に触れることのできない、憧憬によく似ていた。
ビアンカは降るような星空を見上げ、ため息をついた。遠くから賑やかなパーティーの喧騒が聞こえてくる。白い息を吐いて、ビアンカは街灯の明かりから外れた丘へと向かって歩き始めた。今は、独りになりたかった。
ここは国立の宇宙飛行士訓練校だ。天文台も併設されているせいで周りには何もなく、丘ばかりが連なっている。漆黒の闇が描くのは丘の稜線。その影を、星々をちりばめた薄闇の空が浮かび上がらせている。明るいのは、丘の一つのふもとにある学校だけ。今夜が特に賑やかなのは、クリスマスイブのパーティーだけが原因ではない。
今日、12月24日は訓練生が待ち焦がれた選抜試験の結果発表日だった。10人の生徒の中で、選ばれるのはたった1人。訓練生ならば誰もが夢見る、宇宙への切符。不安とそれ以上の期待を胸にこの日を迎えたビアンカだったが、結果は——
「キャプテン・ポーラスタ……」
白いため息混じりに、その名をつぶやく。同時にこらえようのない悔しさと悲しみが襲ってきて、ビアンカは思わず足を止めそうになった。それを無理矢理励まして、がむしゃらに丘を登っていく。
見た目よりもかなりきつい斜面を登るのに疲れて、ビアンカはその場に座り込んだ。訓練生にとっては宵の口でも、一般の人にとっては既に夜更けといっても良い時間帯だ。降りた霜の寒気がじんわりと伝わってくる。
毛糸の帽子を深くかぶって、ビアンカは思い切って寝転がってみた。寒かったが、丘のてっぺんに隠れてパーティーの物音は聞こえなくなった。目を閉じて、腕を空へと掲げてみる。頭の中で星座をイメージして、指を指していく。
「北の空には北極星。北斗七星に、オリオン座。おおいぬ座のシリウス、ベテルギウスにプロキオン……」
「へえ、すごいなあ、全部当たってるよ。目で見なくてもわかるものなんだねぇ」
突然横から掛けられた声に、ビアンカは跳ね起きた。
「誰だっ!?」
一瞬訓練生の同期かとも思ったが、違うようだ。いつの間に姿を現したのか、ビアンカのすぐ横に一人の青年が立っていた。見たことのない顔だ。ご丁寧に赤いサンタの衣装をまとって、緊張感のかけらもない笑みを浮かべている。
「僕? 僕はサンタのニコルっていうんだ。君は?」
「さ、サンタだって?」
最初の驚きが通り過ぎると、後に残ったのは目の前の自称サンタに対する警戒心だけだった。ビアンカはニコルと名乗った青年から身を引いて距離を取った。少しは冷静になった頭で考えて、納得のいく答えを探し出す。
「そうか、パーティーの余興で呼ばれたサンタだな。道にでも迷ったのか?学校ならあっちの丘の向こうにあるぞ」
そっけないビアンカの答えに、しかしニコルは首を振った。
「パーティーに呼ばれた? ううん違うよ、僕は君に会うために来たんだ」
「あたしに会うため?」
ニコルはうなずいた。
「君は僕の今年のお客さんだから。君の願いを叶えるため、僕たちは来たんだよ」
「……僕たち?」
ビアンカの言葉に合わせるように、ニコルの後ろから1頭のトナカイが進み出た。首に下げたベルから澄んだ音を響かせながら、トナカイはビアンカの目を覗き込む。
「驚かせてしまってすみません。私はトーン。ニコルのパートナーです」
その口から発せられた言葉に、ビアンカは目を見開いた。
「トナカイがしゃべってる……? そんな、非科学的な」
「うん。僕らは本物のサンタとトナカイだからね」
ビアンカはめまいを感じた。仮にも自分は宇宙飛行士の卵、科学者の端くれだ。なのに目の前のこの非現実的な事態は一体何なんだ。試験に落ちたショックでどうにかなってしまったのだろうか。
「ねえお姉さん、僕らは君の強い願いに引き寄せられてここに来たんだ。何か強く願っていることはない?」
頭を抱えているビアンカのことはまったく気にする様子もなく、ニコルは笑顔で問いかけた。
「ね……願い?」
「そう。僕は物では満たされない人の願いを叶えるサンタだから。プレゼントをあげることはできないけれど、別の形で君の倖せを作る手助けは出来るかもしれない。君が持っている強い願い、僕らの仕事はそれを叶えることなんだ」
「あなたの心からは強い願いの光が見えました。何か、強く望んでいることがあるのでしょう。私たちにその願いを教えていただけませんか」
強く願っていたこと。それを思い出した時、ビアンカはすっと心が冷えていくのを感じた。
そう、たった一つだけ、ビアンカが望み続けたことがあった。
——宇宙へ。
これがただの飛行なら、たとえ試験に落ちても次のチャンスに向けてまた勉強しなおすだけの話だ。しかしビアンカには、どうしても今回の飛行に受からなければならない理由があった。
——あの人と一緒に、宇宙へ。
ビアンカはぎり、と奥歯を噛み締めてニコルから目を逸らした。握り締めた指先が震えているのは、寒さのせいだけではない。
「願いを叶えるサンタなんて、そんなのいるわけないだろうが。仮にそれが本当だとしても、あたしの願いは人に叶えてもらうようなものじゃない。自分で努力して手に入れるべきものだ。それに——」
試験の結果はもう決定してしまったのだ。今更覆るはずもない。
「もう遅いんだよ。あたしがこれまでやってきたことは、すべて無駄になってしまったんだから」
ビアンカのすべてを拒絶するような態度にニコルとトーンが顔を見合わせる。深深と冷える夜更けの丘の上に、気まずい沈黙が流れた。
「確かに、願いっていうのは本当なら自分で叶えなきゃならないものだよね」
口を開いたのはニコルだった。頭に載せたサンタの赤帽子の先っぽを指先でくるくる回しながらビアンカの顔を覗き込む。
「それを分かっているだけでも君は十分えらいと思うよ。でも、時々はがんばってもどうしようもないこともある。年に一度、クリスマスにくらいは僕らががんばっている人たちを助けてもいいんじゃないかな」
「そうですよ。無駄かどうかは私たちにあなたの願いを話してみてから決めてもいいのではないですか?」
ニコルとトーンの視線の先、ビアンカはそっぽを向いたまま答えない。辛抱強く、二人は待つ。
「……星を、追いかけるようなものなんだ」
ぽつり、とビアンカが言う。
「あたしは、あたしに夢をくれた人を追いかけてここまで来た。宇宙飛行士の訓練校に入って、訓練を積んで……すべてはあの人、キャプテン・ポーラスタに認めてもらいたいからだった」
ゆっくりとビアンカの目線が上がる。夜空を映した瞳の先、そこには淡く輝く北極星があった。
「ようビアンカ。試験勉強は順調か?」
親しげにかけられた声に、ビアンカは振り返った。今日の訓練を終えたばかりの同期生の向こうで、頭ひとつ背の高い三十男が手を上げている。
「キャプテン・ポーラスタ。珍しいですね、訓練室に顔を出すなんて」
ビアンカは男に小走りで近づいた。見上げた男は無精ひげの生えたあごをさすりながら、にやりと笑って見せる。
「なぁに、ひよっ子どもががんばってる姿を一目見ておこうと思ってな。部下の仕上がりを確認するのも、責任者の大事な仕事だし」
男の手がぽん、とビアンカの頭に置かれる。
「訓練の様子を見せてもらったが、お前はなかなか筋がいい。お前になら安心してサポートを任せられそうだ」
「はっ、はい、ありがとうございます!」
「試験は来週だったな。ま、がんばって乗組員になってくれや。期待してるぜ」
褒められた嬉しさと興奮で頬を染めているビアンカの後ろで、今になって男に気づいたらしい同期たちの声が上がった。
「あ、キャプテン・ポーラスタだ」
「本当だ。キャプテン、今日は何の用ですか?」
「用がなきゃ来ちゃいけないのか、俺は。見学だよ、見学」
男はビアンカの横をすり抜けて、同期たちの方へ行ってしまった。その大きな背中を見るともなしに追いかけて、ビアンカは小さくため息をついた。
同期たちは皆若い。一人だけ年代が違うこともあって、男の姿はとても目立った。いや、目立っているのは年齢のせいだけではない。軽口を叩きながら同期たちとじゃれている男は、他の誰より圧倒的な存在感があった。決して人を威圧するようなものではないが、ただそこにいるだけで大きな安心感を与えてくれる不思議な力。事実、試験を控えてぴりぴりしていた同期たちの表情に久しぶりに笑顔が戻っている。
一週間後の試験に通れば乗ることになる宇宙船の船長、キャプテン・ポーラスタ。ビアンカが誰よりも憧れ、尊敬している宇宙飛行士。それが目の前の男だった。
別に本名があるにもかかわらず、誰からも二つ名である”キャプテン・ポーラスタ”と呼ばれるほどに、彼はこれまでに大きな業績を挙げてきた。北極星とは決して狂わない指針のこと。十代で初めて宇宙への切符を手にして以来、彼が確立した技術や発見した新事実は数え切れない。彼は文字通りこの世界で生きる者にとっての巨星であり続けた。
しかし彼はこの次の飛行を最後に現役を引退する。今回初めて選抜試験に臨むビアンカにとって、彼と一緒に宇宙を飛ぶチャンスはこの一度きりしかない。
きっと、この試験に受かってみせる。そして彼と一緒に宇宙から地球を見るのだ。
その夢のためにビアンカは宇宙飛行士を目指し、ここまで来たのだから。
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