書き散らした小説置き場。剣と魔法のファンタジー他いろいろ。
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Jingle Bells! Jingle Bells!
Jingle all the way!
Oh what fun it is to ride
In a one-horse open sleigh!
Jingle all the way!
Oh what fun it is to ride
In a one-horse open sleigh!
「いやぁ、いい声だねえ」
そう言って主人は橇のベルを軽く弾きました。聞こえてくる歌声に似た、高く澄んだ音でベルが鳴ります。
「これで来年のプレゼントも大丈夫だね」
「そうですね」
私は橇を振り返りました。主人より多くのスペースを占領している袋の口は、今は開けられていました。そこにきらきらしたこまやかな粒が吸い込まれていきます。まるで歌声の結晶のような、金色の煌き。
袋から眼下の街に視線を落とした私はふと、道行く一人に目を止めました。
「ニコル、あれは?」
クリスマスの朝。礼拝に行くのか、あるいは買い物か、静かではありますが人通りの多い街を走っている人がいます。図らずも耳にした綺麗なジングル・ベルに足を止めた人にぶつかり、謝りながらもひたすら歌声の主の家へ走る、やぼったい眼鏡の男の人。
「ああ。ようやく彼も、会いに行く覚悟ができたんだろうね」
橇から身を乗り出して下界を眺め、主人は笑いました。
「もうずっと前からすぐ近くまで来てたのに。ミミィが彼を忘れていたら、本当に二度と会う気はなかったみたいだね。うまい具合に二人の夢がつながって良かったよ」
「ええ、本当に」
点々と足跡を残し、時には滑りながら懸命に歌の主の家へ駆けていくハルカをしばらく見ていた主人は橇の上で大きく伸びをしました。
「どうやら、今年も一仕事終わったみたいだね。そろそろ僕らも帰ろうか。僕らの家へ」
「はい」
まっすぐ針路を取ってから、私はふと思いついて橇を振り返りました。
「ニコル」
袋の口を閉めていたニコルが顔を上げます。
「何だい?」
「今年も、お疲れ様でした」
主人が笑ったのを確認して、私は走り出しました。橇の揺れるリズムに合わせてベルが鳴ります。
Jingle Bells! Jingle Bells!
Jingle all the ——
ミミィの歌声がふいに途切れました。遠ざかって聞こえなくなったのではないのでしょう。これは歌声が二重唱になるための、再会の中断。
Jingle Bells! Jingle Bells!
Jingle all the way!
後ろの橇で主人が続きを歌い始めました。決して上手とはいえませんが、とても楽しげなその声。
そんな主人——My Dear Santaにならって、最後の一節は私も一緒に歌うことにしましょう。
Oh what fun it is to ride
In a one-horse open sleigh!
I wish a happy and Merry Christmas
comes to the all this story's readers!
<2002年12月24日>
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